アダルトチルドレン エンタメ・レビュー(アニメ映画)

*「アダルトチルドレン エンタメ・レビュー」とは
アダルトチルドレン(AC)に関する書籍はたくさんありますが、本を読むのはちょっと苦手という方もいるでしょう。
そんな時、映画などの娯楽(エンタメ)に触れることが役立つこともあります。
同じ作品を見ても人によって感じるものは様々ですが、「ACという課題を見つめなおす一つのキッカケ」という視点から、役立ちそうなものを紹介していきます。

アニメ映画 「 未来のミライ 」

*未来のミライ 公式サイト http://mirai-no-mirai.jp/
「バケモノの子」「おおかみこどもの雨と雪」の細田守監督が手がけるオリジナルの長編劇場用アニメーション。
甘えん坊の4歳の男児くんちゃんと、未来からやってきた成長した妹ミライの2人が繰り広げる不思議な冒険を通して、さまざまな家族の愛のかたちを描く。

優れたアニメ作品を多く生み出してきた細田監督の最新作。
しかし観客の声として高評価がある一方で、低評価もかなり多いようです。

私が受けた印象からすると・・
この映画はCMなどから受けるドラマチックな「冒険活劇」的なイメージとは違って、主に家の中と空想世界といった心象的には狭い空間で起こったことが描かれているように思われます。

そのため、期待して見に行ったことと(非日常の出来事)、実際目の前にした映画(日常的な出来事)とのギャップがあったように思います。

そして観客の中には、本人がすっかり忘れてしまい、普段意識しないような「過去の家族関係で傷づいた体験」「幼少期のネガティブな感情」といったものが刺激されて、「よく分からないけど、不快!」といった反応を生み出した面もあるように感じます。

この映画。
ある視点からすると「幸せな父親が描く、親ばかファンタジー」とも言えるでしょう。

多少問題が起こるとしても、リアリティの高いアニメで「幸福な家庭」の日常が描かれています。
これを観ることによって、逆に幸福な家庭とは思えなかった自分自身の過去の出来事や体験、家族に対するネガティブな想いが、いつのまにか心の内面からあぶりだされる感じです。

アダルトチルドレンがこの映画を見ると、どこか不快に感じたり、また明確に心の痛みを思い起こすことがあるかもしれません。

ただこの「心の炙り出し」は役に立つこともあります。

アダルトチルドレンの中には、幼少期の記憶があまり無い人や幼少期の記憶が不鮮明な人もいます。
アイデンティティが不明確で周りから影響などを受けやすい場合は、安全な範囲で少しつづ記憶を取り戻していくことが、回復の一つの道のりになります。

またある程度ACが回復してきた人が、積極的に過去の傷に向き合おうとする際は、過去の記憶を刺激することも有効です。

こういった映画に触れることが「ACという課題を見つめなおす一つのキッカケ」になれば幸いです。

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