「逆境体験が人を強くする。」
「つらい状況があったからこそ、成長できた、力がついた。」
確かに、逆境やつらい状況があったことによって成長できること、力がつくことはあります。
しかし幼少期に
・両親との間で安全・安心が保障されなかった体験
・親子の間で愛着や信頼が育まれなかった体験
このような体験を強く・継続的に受けたとしたら、必ずしも強くなれるわけではありません。
むしろ本人の「困難を乗り越える力」が弱くなってしまうことが多いのではないかと思います。
親子関係での安全・安心、愛着や信頼がどの程度確保されていたのか、分かりやすい指標の一つとして「幼少期、親に充分甘えることが出来たかどうか。」があるでしょう。
子育てに必要不可欠なこと
子育て、特に小さな子どもの成長に必要不可欠なことは何か。
様々な考え方がありますが、私はシンプルに三つにまとめることができると思います。
①身辺の世話
②情緒の世話
③礼儀作法など基本的な生きる技術・習慣を身に着けさせる
そして「幼少期、親に充分に甘えられたか」どうかは「②情緒の世話」にあたるのです。
ここが不十分だと、子どもは自己肯定感を育むことが出来ません。
そのため困難を目の前にした時に、過剰に不安になったり、向き合いきれずに気持的に逃げてしまいがちです。
子どもが甘えることができない家族の背景
子どもが甘えることができなかった、家族の背景として様々なものが考えられます。
親が子どもの「甘え」はすべていけないことだと考えていた。
こういった親は「甘え」とは「甘やかすこと」だと捉えています。
つまり「子どもの物質的欲求を際限なく満たすこと」などと考えているのです。
しかし一方で「甘えさせる」ことは、子どもの成育に欠かせない情緒的欲求を満たすことです。
この基本的な欲求を満たすことが、自己肯定感を高め、困難に立ち向かう原動力となり、ひいては子どもの社会的自立につながることに気付いていなかったのです。
親が子どもに兄や姉(時には保護者)といった役割を過剰におわせていた
「あなたはお兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」などとして、兄や姉の役割を求め過ぎた場合、子ども本人が甘えたい欲求を抑えてしまうことがあります。
また親が精神的に不安で子どもに頼ってしまい、親に対する励まし・承認・寄り添いなどを子どもに求めすぎるケースもあります。
そうすると、子どもが心理的には「親の保護者」のような状態になってしまい、自分の甘えたい欲求を出せなくなってしまうのです。
親が過干渉や教育熱心だった
親が過干渉や教育熱心だった場合、子どもの自然な欲求に関心が払われていないことが多い。
そのため甘えたい欲求がなかなか満たされなくなってしまうのです。
親自身に甘えた経験が少ない
自分の親に甘えた経験が少ないと、自分の子どもの甘えを目の前にした時、困惑しがちです。
どう接すれば良いか分からずイライラしたり、甘えたくても甘えられなかった幼少期の悲しい体験が無意識のうちに反応して、子どもの甘えを拒否してしまうこともあります。
親の別離、忙しすぎる仕事、貧困など
両親が子どもに関心や気持ちを向ける余裕がなく、甘えることが出来ない状態に陥っていることもあります。
まとめ
アダルトチルドレンからの回復は「困難に立ち向かう力」を強めることにつながります。
それは何か新たな力がつくというよりは「その人の元々持っていた力が徐々に発揮できるようになってくる」、そんな感じになるのです。