*「アダルトチルドレン エンタメ・レビュー」とは
アダルトチルドレン(AC)からの解放・回復は「自分の両親との関係」「自分の幼少期」を見つめなおすことでもあります。
しかし、今現在の両親との関係を改善したいと思っても、なかなか思うようにいかないことも多いでしょう。
また過ぎ去った昔のことに向き合うのは億劫(おっくう)だったり、過去の痛みに向き合うのが大変だったり。
人によっては幼少期の記憶そのものが曖昧な場合もあります。
アダルトチルドレンに関する書籍もたくさんありますが、本を読むのはちょっと苦手という方もいるでしょう。
そんな時、映画などの娯楽(エンタメ)に触れることが役立つこともあります。
映画は見る人によって評価が大きくかわります。
同じ作品でも「素晴らしい!」と高評価の人もいれば、「つまらない」と低評価の人もいるでしょう。
人によって感じるものは様々ですが、ここでは「ACという課題を見つめなおす一つのキッカケ」という視点から、役立ちそうなものを紹介したいと思います。
アニメ「僕だけがいない街」
*参考
dドラマ 僕だけがいない街(全12話)
https://anime.dmkt-sp.jp/animestore/ci_pc?workId=2052
このアニメは売れない漫画家の主人公が、特殊能力を使って過去に行き(小学生の頃)、自分と周囲の人々を襲う悲劇を回避するミステリー・サスペンスです。
漫画が原作となって、TVアニメ化、実写版の映画化、そして実写版のオンラインドラマ(Netflix)まで作られた大変な人気作と言えるでしょう。
この作品の一つの特徴は子どもが親から受ける虐待のシーンを明確に描いたことではないかと思います。
殺人事件の被害者となるクラスメイトの女の子。
主人公はその悲劇を防ごうと悪戦苦闘します。
そして気付くのです。
その女の子が母親から虐待を受けていることに。
子どもの虐待について、以前はあくまで家庭・家族の中の問題とされ、当事者から口外されることも少なく、公にすることはタブー視されていました。
また決して明るい話題ではないため、映画やドラマなどの作品の中で、親からひどい虐待を受ける子どもの姿が描かれることは非常に少なかったと思います。
虐待がこの作品のテーマではありませんが、「ACという課題を見つめなおす一つのキッカケ」という視点からすると、こんな活かし方があるように思います。
■幼少期を振り返りにくい人、記憶があまりない人
・幼少期(小学生)の頃、どう過ごしていたか想い起す
・自ら記憶にフタをしていた原因がどこにあったのかを探る など
■両親・毒親のせいで、現在も苦しんでいると感じている人
・幼少期の親がどの程度悪かったのか、悪さ程度をより客観的に見る
「自分もまさにこんな目にあっていた」という人もいれば
「さすがにここまでひどくはなかった」
「ウチはこんな分かりやすい暴力ではなく、一見平和だけど愛情が少なかった」
なんて思う人もいるかもしれません。
トラウマに苦しんでいる時は、過去に囚われてしまっている状態とも言えます。
そのため過去を客観的に見ることが難しくなってしまいます。
逆に過去を少しでも客観的に見えるようになると、過去の囚われから外れやすくなるのです。
■親から虐待を受けていたが、回復がある程度進んだ人
・過去の傷がどの程度癒されたのかを知る手がかりになる
*親から虐待を受けて、回復が進んでいない人にはお勧めしません。
虐待の傷が深いままの場合、自身の体験を思い起こすことは
心身に大きな負荷を与えることがあります。
この作品は漫画、TVアニメ、実写版の映画、実写版のオンラインドラマ(Netflix)の四つがあります。
幼少期を見つめる観点からすると、リアル感・非リアル感のバランスが良いTVアニメ版がお勧めです。
実写版のようにリアル感が強いとキツくなることもあります。
またアニメであれば描写が繊細であっても全くの現実ではないため、潜在的に心理的な安心感を持って見やすいからです。