高校生の時、胃潰瘍の緊急手術を受けることになってしまった私。
しかしその後、特に大きな病気をすることはありませんでした。
今回の手術・入院は、数十年ぶり二度目のことになります。
そのため当時の状況、また両親との葛藤の歩みが自然と思い出されました。
そしてこの機会に、両親との関係を更に見直したいと思えてきたのです。
*関連記事「がんが見つかって」
①意識状態が変わる
https://ac-recovery-lab.com/?p=5309
②「親を憎しみ、恨む」ことで胃に穴をあけてしまった過去
https://ac-recovery-lab.com/?p=5385
【1】両親に言えなかった病気の理由
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高校生の時、なぜ私は胃潰瘍(いかいよう)という病気になり、胃に穴が開くまでになってしまったのか。
当時の私はその理由を両親に伝えることが出来ませんでした。
病気が最終段階までいってしまい、もう手が付けられなかったこともあります。
治療も「胃の三分の二を切除した手術」から回復することがメインでした。
そもそも病気になった理由について医師から聞かれることもなかったように思います。
今考えると、私はその病院に胃潰瘍の患者として入院したのではありませんでした。
胃に穴が開いて救急車で運ばれた「緊急手術の患者」として扱われていたのも一因かもしれません。
また入学や引っ越しして環境が変った後だったので
「(環境に)慣れればもう大丈夫じゃないか」
と両親が安易に考えていたところもありました。
そのため病気の理由について、深く聞かれることはなかったのです。
そして何より私が罪悪感を感じていたことが大きかった。
「自分が入院・手術を受けることになって、両親に迷惑をかけてしまった..。」
(お金や時間・手間をかけさせてしまった。)
「親を憎しみ、恨むことは悪いこと。そんな悪い想いを持った自分がいけない..。」
などと考えていたのです。
だから両親に病気の理由を言えなかった。
そしてその後、親に対するネガティブな想いは無かったことにすること、無視することで、両親との関係を保ち、自分を保っていくようになったのです。
しかしこれは想いや感情を表面的に抑え込んだだけで、根本的な解決にはなっていません。
ネガティブな想いや感情を抑圧したことは、結局両親との確執を長引かせることになってしまいました。
【2】両親に想いをぶつけては、ケンカになる不毛な時間を繰り返す
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私が両親と一緒に住んだのは高校生まで。
高校卒業の年の4月、父親は転勤でまた引っ越しをすることになりました。
予備校生になった私は両親と別れ、祖父の家で暮らすようになりました。
また大学生になると一人暮らしを始めるようなったのです。
両親と毎日会うことがなければ、日常的に感じる葛藤は大幅に減ります。
また社会人になると、経済的にも独立するため、生活費・学費のことで、両親に気をつかったり揉めることもない。
大学を卒業し就職した時「これで親の影響や葛藤から解放される!」と喜びました。
しかし解決した訳ではなかった..。
社会人になって仕事、人間関係など思うようにいかなかったり、壁にぶつかることが度々ありました。
自分自身の精神や感情の状態が非常に不安定で、周りの状況や人から過剰に影響を受けやすかったり。
自分の想いや意思を通しにくく、ブレてしまったり。
集中力や行動力が弱かったり…。
あまりにも思い通りにいかない現実。
この現状を突き付けられて「自分の生い立ち、両親との長年の確執に目をむけざるおうえない。」
そう思いました。
社会人になって数年後。
帰省した際などに、私は両親にストレートに想いや怒りをぶつけるようになりました。
「子どもの頃、私はこんなことが嫌だった、こんなことが辛かった..。」
「そんな私の気持ちを分かって欲しい、受け止めて欲しい。」
「小さな子どもだった自分を傷つけたこと。謝って欲しい..。」
しかしその頃の自分は心の傷が癒えていませんでした。
ただ自分の中に渦巻いていた怒りや悲しみといった感情を両親にぶつけるだけでした。
そうすると、両親も感情的になります。
「今さらそんなことを言ってどうするんだ!」
「そんな話し、聞きたくもない!」
父親は激高し、母親は更に心を閉ざす。
両親とぶつかっては、お互い嫌な思いをして終わる。
こんな不毛なことを繰り返していました。
そしてだんだん諦めるようになっていました。
大人になっても、両親に食って掛かってしまう自分の姿。
「これは自分の『子どもじみた甘え、弱さ』に過ぎないのかもしれない..。」
そんな風に考えるようにになってきたのです。
【3】転機となったトラウマ解消
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転機が訪れたのは、それから数年が経ってから。
トラウマ解消にかなり効くものがあったのです。
心の傷が多く、癒えていない状態であれば、その痛みに翻弄されがちです。
そして強い痛みに囚われてしまい「自分を見失った状態」になりやすいのです。
そうすると、周りの状況をしっかり捉えられず、自分で自分をコントロールすることも出来ない。
その結果、人生が混乱しやすいのです。
私はトラウマの解消が進むことで、過去の心の傷に囚われることが減りました。
両親と会った時も、以前のようにただ悲しみや怒りの感情をぶつけることがなくなりました。
両親と自分の状態を冷静に見れるようになってきたのです。
また両親に対して 無意識のうちに持っていた期待。
「親なんだから、子どもを愛する存在であって欲しい。」
「いつか、両親が自分のことを分かってくれる日がくるかもしれない。」
といったことも減ってきました。
相手に期待をしないと、相手との関係も楽になります。
結構年月はかかりましたが、徐々に両親との関係が良くなってきたのです。
私にとって更に大きかったのは、父親に対してセッションが出来たことです。
父親のトラウマが強いことは分かっていました。
妻や子どもを傷つける言動を止められない大きな理由。
その一つはトラウマにあると思っていました。
そこで父親に私のセッションを受けることを提案したのです。
たまたまタイミングも良かったのでしょう。
父親は私の仕事を応援するつもりもあって、お金を払って受けてくれたのです。
そんなこともあって、両親との関係は大きく変わり、険悪な感じはなくなりました。
また両親の夫婦関係も良くなってきた感じもします。
だからこそ、今回迷うこともありました。
「高校生の時に病気になった理由を今伝えて、両親を悲しませてもいいのだろうか?」
「現在は比較的穏やかに生きている二人。今更つらい想いをさせる必要はないんじゃないか..」
でもやはり伝えようと思いました。
【4】つい忘れがちな「生きている時間には限りがある」という現実
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今回の病気で改めて思ったのは「人間の命はいつまであるのか、意外と分からない。」ということです。
以前の私にはなんとなく「高齢者から徐々に亡くなっていく」ぐらいのイメージしかなかったのです。
しかし実際に人が亡くなるのは、老齢が原因になることもあれば、年齢にかかわらず病気がキッカケになることもある。
何の前触れもなく、事件・事故で突然亡くなることもある。
災害などで多くの命が一度に亡くなることもある。
それをリアルに感じた時、誰もが「生きている時間」に限りがあることを、改めて感じさせられたのです。
両親がいつまで生きているのか、また自分自身もいつまで生きているのか分からない。
ならば両親も私も生きているうちに、関係性をよりクリアに、より分かり合える状態にしておきたい。
そう思えてきたのです。
*関連記事「がんがみつかって」
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①意識状態が変わる
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④両親への心残り・和解
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